概要
効率的、この言葉ほど子育ての大敵となるものはありません。
もともと人はのんびりした生き物です。成長して社会化が進むにつれ現代に適応して効率的に生きるようになっていく。
もちろん、効率的であることは素晴らしいことでもあります。現在の豊かな暮らしは効率を無視して得られるものではありません。
しかし、子育てにおいて効率性は大敵です。理由は子どもの本性と正反対だからです。
つまり子どもの生活は遊びに満ちているからです。遊びには効率性がありません。あるのは楽しさだけです。
効率性は左脳、楽しさは右脳、といったところでしょうか。大人になるにつれ左脳を使うことが増え、頭でっかちになる。
効率的に子育てをしようとすると、子どもの失敗が許せなくなります。時間やお金、手間がかかるからです。
ところが、この失敗というものが成長にとっての大切なのです。遊びには失敗が組み込まれている。
教えすぎることも弊害だと思います。大人が子供にいろいろと教えるのはその方が効率的だからです。
しかし、効率性は子どもの本性に反している。だから、弊害が起きる気がする。
ある民族では教えることは神様だけの特権だそうです。
子どもは時期がきたらものすごいスピードで学びます。それまでにはいくら言っても入らない時代があると感じます。
もちろん、危険についてのことなど教えなければいけないこともあるとは思います。
しかし成長を無理に進めようとするとどうなるか。野菜を育てるときのことを考えると示唆的です。
野菜の場合、早く育てようとすると栄養が減ったり、病気にかかかりやすくなったり、害虫が付きやすくなったりするのです。
実がつかなくなることだってあります。
収穫時期を早めるためにハウス栽培にすると収穫物の栄養が減ることが分かっています。
肥料をたくさん与えると病気が出たり、害虫が付きやすくなったりします。
たとえば大豆は肥料が多すぎるとつるぼけします。つるボケすると茎が太くなり、葉が茂りますが、さやの中はからっぽです。
体ばかりが大きくなるものの子孫を残せないまま冬を迎え枯れていく様子はなんとも切ないものがあります。
きゅうりもつるボケします。葉が茂るのですが、実が3cmほどにしかならず種が成熟しない。
もちろん肥料を適量与えることは野菜の成長を高めます。また、肥料を適切に与えないと美紀が悪くなることも事実です。
教えることは肥料を与えることに似ています。危険などについて教えることのように、適量を与えれば子どもはよく育つでしょう。
しかし教えすぎるとどうなるか。つるボケした野菜を見て連想すると恐ろしいです。
だから失敗を見守る必要があるのだと思っています。
とはいえさすがに待ちきれないことも多いので、適切に評価することは必要かもしれません。(安藤 2020)
コメント