基本的にこどものことは子どもに決めてもらう。
親はアドバイスはする。
という立場がいいと思います。
アドラー心理学の立場から野田先生は次のように言います。
そうではくて、できるだけ相手に判断を委ねたい。たとえば、「ここはよくないよ、こうしたほうがいいよ、ああ、これじゃせいぜい六十点だな」というような言い方はやめて、「君自身はどの部分が気に入っているかな?どういうふうにすればいいと思うかな?君が一番いいと思うようにすればいいんだよ」というふうに、できるだけ相手の主体性に委ねたいと思います。
(野田 2017)
テクニックとしての委任ではないです。
周囲があれこれと指導することは、本人が本来の能力を発揮する妨げになるからです。
(ガルウェイ 2000)
ガルウェイはテニスのコーチです。
ガルウェイはコーチが手取り足取りコーチをすることで、選手の頭の中は自分への批判で一杯になるといいます。
この状態は、選手がハイパフォーマンスをあげたときに使われる「無の状態」とは対極のものです。
手取り、足取り指示する、子育てする親、教育する教員にありがちな光景です。
そして同様に失敗をおそれ自分に自信が持てない生徒の姿もありがちなものです。
ガルウェイはたとえば「ラケットがボールを打つ音」に注意を向けさせ、選手本人に判断を委ねました。選手はその結果として高い集中状態に入っていくそうです。
佐々木正美先生の「こどもの甘えをできる限り満たすこと」、その結果子どもは自分を信頼するようになる、ということともつながりがあるように思えます。(佐々木 1998)
教育の目標は自立、鍵となるのはこどもの主体性。となれば、自己決定してもらうことが教育にあたるものの前提となる態度だと思います。
参考文献
・野田俊作(2017)『勇気づけの方法』、株式会社創元社
・佐々木正美(1998)『子どもへのまなざし』、福音館書店
・T.W.ガルウェイ(2000)『新インナーゲームー心で勝つ集中の科学』、日刊スポーツ出版社
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